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男の名は兵藤 新(ひょうどう あらた)
昔パラディンであったが、悪魔堕ちしメディスに成り下がったのである。
悪魔堕ちとは、特殊なメディスによって、メディスの分泌液を体に流し込まれ、メディスとなってしまった者をいう。
「佐藤さん……メディスはなかなか良いものですよ。何かに縛られる事もない!自由に生きられるんですから。
何より!
……人間を襲った時のあの快感!悲鳴を上げて……助けを求めるあの顔!
……たまらないですよ」
兵藤は不気味に笑った。
「お前は昔からイカれていたが、悪魔堕ちしてさらにイカれたか……救いようがないな」
佐藤は冷静さを取り戻し、呆れた口調で言った。
「救いようがない?何を言っているのです?私は救いなどいらない!私はもう……
カイ様に救われた……」
佐藤は兵藤を睨み、叫んだ。
「その名を貴様が語るなぁ!」
そう言うと同時に、佐藤は兵藤に襲いかかった。
佐藤も来唱の持ち主で、引力と斥力を使う。
佐藤は片手を前に突き出すと、兵藤を斥力の力で突き飛ばした。
兵藤は屋上から落ちそうになったがなんとか堪える。
「危ないですねー」
それでも兵藤はニタリと笑っている。
「くそがっ!」
佐藤はもう一度斥力の力を使い、兵藤を突き飛ばそうとしたが、先に兵藤が動いた。
「私の力をお見せしますよ。
……悪魔堕ちして私は、来唱を手に入れた!」
そう言って、兵藤は指を鳴らした。
パチンッ
「なんだ……?これは……」
佐藤の目の前に広がったのは、巨大化した兵藤の姿だった。
大きさは、十メートルを優に越えている。
「馬鹿な……」
斥力の力を使うがびくともしない。
兵藤はニタリと笑い、佐藤を殴り飛ばした。
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