騎士

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梶は渋谷駅前のスクランブル交差点にいた。 どこだ? 辺りを見渡し、強力な妖気を発している場所を探る。 すると、ビルの屋上が目に止まった。 「あそこか」 梶は屋上を目指した。 階段を登り、扉を開けて目にした光景。 それは、佐藤が呆然と立ち尽くし、兵藤に殴られているシーンだった。 なぜだ? 梶は疑問に思ったが、すぐさま兵藤に襲いかかる。 「兵藤!」 梶は叫んだ。 「きさまは……」 兵藤は梶の姿を確認するなり、すぐさまその場から消え去った。 「ちっ!……逃げやがって!おい佐藤!何やってんだ!」 佐藤の肩を揺らす。 佐藤は放心状態であったが、梶の言葉に反応し我にかえった。 「梶……?……はっ!兵藤は!?」 「消えたよ。オレを見てすぐさま消えやがった」 「……そうか……助けられたな……」 「ったく、ぼーっとしやがって!あんなのにやられてんじゃねぇよ!」 佐藤は不思議そうな顔をした。 「私が……ボーッとしてた?」 「はぁ?ただつっ立ってたろうが!」 佐藤はさらに困惑した。 「いや、私は兵藤が巨大化して……手も足も出なかっただけだ。ボーッとはしていない」 梶は呆れた。 「おいおい、勘弁してくれよ、あいつは巨大化なんかしてねぇーし、例え巨大化したとしてもあんなのに負けんなよ! 仮にもてめーは…… 十騎星だろ」 そう言い放ち、梶はその場から去った。 佐藤は一人その場にしゃがみこみ考えていた。 私はいったい何を見たんだ? 梶は兵藤が巨大化なんてしていないと言った。 でも私は確かに巨大化した兵藤を見た。 そして、私はボーッと立っていただけ……? まさか…… 奴の能力は…… 佐藤は立ち上がり、組織に帰った。
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