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佐藤は訓練生を見ていた。
早く成長させなければ。
また、いつあのような急襲がくるか分からない。
それに……
悪魔落ちも動き出している。
佐藤は一人物思いに更けていた。
一方訓練生は、詠唱を唱える段階へと進んでいた。
「もう皆覚えたな?これから詠唱を唱える。まだ君たちは気力が少ないから、唱えるのは1日3回までだ」
気力とは、人間の内なる力のことで、詠唱を唱える時や、来唱を使う時に必要になる。
気力はひとにより大小さまざまだか、訓練により、その量を増やすことができる。
「よし!では南くん。やってみたまえ」
南は緊張の面持ちで詠唱を唱えた。
「差しこむ天の光よ、我が血肉を与えいま現さん!」
すると、眩しいほどの光が全身を包んだ。
「成功だな!」
剛力は満面の笑みで頷いた。
南も笑みが溢れた。
そして、葉桜の番が回ってくる。
「ふぅー」
落ち着くんだおれ!
一つの系統を極めればいいんだから!
よし!
「汝、我の力を使い、いま舞たて!」
あれ?
なにも起きないぞ?
「……葉桜くん、それは上級者用の詠唱だよ。君にはまだ無理だ」
剛力は呆れた顔をしていた。
「あ……」
回りを見渡すと、皆が葉桜を見ている。
「すいません」
そう言い残し、葉桜はそそくさと戻った。
斑目はと言うと、他の者よりも気力が多く、光以外の系統の詠唱を成功させた。
「すごいじゃないか!」
剛力の言葉。
葉桜はそれを見て、唇を噛み締めた。
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