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その中には男が二人。
一人は細身で明らかに貧弱である。
もう一人はなんと梶だった。
「あいつは……」
葉桜は呟いた。
そして真剣な眼差しで梶を見つめる。
「ここは闘技室で、訓練の成果や、実戦練習などをするところだよ。」
そういうと、葉桜は興味津々に見入った。
なんせあの梶が戦うのだから。
しかし、相手の姿を見て肩を落とす。
あの体格で戦っても勝てるはずがない。そう思った葉桜は、少し残念そうな顔をした。
そして二人の実戦練習が始まる。
葉桜は興味無さそうにしていたが、始まった直後目を見開いた。
眼前には物凄い戦いが始まっていた。
細身の男は詠唱を唱えるのが兎に角早く、梶に反撃の間を与えなかった。
梶は苦しそうな顔をしていたが、驚く事に、梶は何も唱えずに手から炎を出したのだった。
手に宿った炎は、細身の男に降り注ぐ。
その攻撃を食らった男は吹き飛び、ぐったりとしてしまった。
葉桜は何が起きているのか分からなかった。
「あちゃー、またやりやがったなー。
んー……あれは来唱と言ってね、生まれ持った才能なんだよ。来唱を持っている人は数少ない。特別な人間なんだ。」
佐藤は、吹き飛んだ男を心配そうに見ていた。
葉桜は梶を見た。
梶は吹き飛ばした男に手を差し伸べている。
葉桜の梶を見る目が、いつのまにか軽蔑の目から尊敬の目に変わっていったことを、本人はまだ気づいていないだろう。
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