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[それは未来へと続く]
(カゲロウ・?)
夢をみる
僕が彼に出会う前
僕があの世界に生まれる前
僕がまだ名前をもつ前
暗い世界で 僕は 誰かといた
カゲロウ
「ねぇ半分、ここは暗いね」
?
『仕方ないよ、ここは牢獄だもの』
カゲロウ
「なんで僕たちはここにいるんだろう」
?
『僕達を生み出した──が閉じ込めたからだよ』
光のない真っ暗な小部屋で僕達は二人だけだった。
音も僕たちの声しかない。
カゲロウ
「ねぇ半分」
?
『なぁに?』
カゲロウ
「外の世界はどうなっているのかな」
?
『…僕たちが生まれるような世界さ、きっと酷い場所だよ』
僕が問いかけ もう一人が答える
半分と呼んでいた君は 誰だっけ
?
『出れなくったっていい。この狭い世界に僕と君だけがいる…それだけでいいよ』
カゲロウ
「そう。半分がそう言うなら僕もきっとそうなんだね」
?
『そうさ。君は僕で、僕は君だ』
ああ、そうだ
僕はずっと昔 片割れがいた
名前もなく あの世界で二人だけで
ずっとずっと 一緒にいる筈だった
──────筈だった。
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