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週末のクラブ。
煙る空気の中に、男が一人佇む。
長身だ。
引き締まった、鍛え上げられているものだと容易に判る均整の取れた体。鼻筋がすっと通った、凛々しく整った面立ち。
しなやかさと精悍さを併せ持つ、黒い豹に似た雰囲気を漂わせる美しい男だった。
それでいてブラックライトの下で黒く蠢く人混みを眺める涼やかな双眸は、どこか虚ろだ。
男は、薄笑いを浮かべた形のよい唇に白い錠剤を挟み、舌先にそれを乗せて口に含むと、ゆっくりと噛み砕いた。
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