prologue 《出逢い》

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そこにいたのは、ヴレドと同年代であろう、漆黒のセミロングの髪と、引きずり込まれるような黒い瞳をした少女だった。 少女は手に持っている紙をヴレドに差し出しながら言った。 「これ。あんたのでしょ? 扉の前に落ちてたけど」 その紙は今、ヴレドが求めていたもの。入学式の要項が書かれたプリントだった。 ヴレドは自身の茶色い眼を輝かし、少女から奪い取るようにプリントを受け取りながら、まくしたてるように礼と疑問をぶつけた。 「サンキューな! 助かったよ! ―――つか入学式ってどこであるんだ!? ここって体育館だよな!? それに、もう遅刻しちまうよ!!」 少女は一瞬眉間にしわを寄せ、失望したようにため息をつき、言い放つ。 「あんたってバカなの? ここは確かに体育館だけど、入学式があるのは3号舎の体育館よ。 ――ここは1号舎だし、しかも入学式は午後から。今は教室でホームルームよ。こんなとこでウダウダしてるよりは、早く行った方がいいと思うけど」 その言葉を聞いたヴレドは目を丸くしながらプリントを見る。そこには―――。
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