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それから段々とヴレドは心底苛立って来ていた。何せ、初対面の人間にいきなり“辞めろ”などと言われたからだ。ヴレドは冷静を保とうと、自分に言い聞かせながら反論した。
「……俺は何があろうが辞めねぇよ。その前に、お前。初対面の相手にその物言いは無いんじゃねぇのか? 人間性を疑うぜ」
少女は口端を少しだけ上げながら、ヴレドの言葉を鼻で笑い飛ばす。
「そう? 私はあんたみたいな頭の悪い奴が今、この場にいることの方がおかしいと思うんだけど?」
ヴレドはその言葉を聞くと、身を震わせて、床を鳴らしながらゆっくりとステージへと向かう少女を、歯軋りしながら見つめていた。
最悪なことに、これが2人のファーストコンタクトであった。
しかし、この2人が歴史を変えるような出来事を巻き起こすとは当人たちでも予想しえなかったことだった―――。
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