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「むむ。虹子よ。ネロには指一本触れさせん」
「…はあ? アンタ何言ってんの…?」
「いやね、ド変態な虹子に触られたら、ただでさえ、ムッツリスケベなネロが虹子と同じになっちゃうからね」
虹子の危険性を、簡潔にネロに伝えるが、
ネロの曇った表情は晴れない。
「………じゃあ、何で定吉が襲われてるのは見逃してんのよ」
否定はしないのか。
だが、ごもっともな、ネロからの意見。
「いや、そこは読者サービスでしょ。虹子、もっとやれ」
「ふふん、言われなくとも」
「いやあっ! に、虹…子……! そ、そこはダメ、ダメぇ~~~っ!?」
ビクンビクンと身体を痙攣させた定吉が、
高揚の表情で目を虚にさせる。
「ああ………、この定吉の表情。俺たまんないよ」
ムフフと定吉を見ながら微笑んでいると、
先程からのネロの痛すぎる視線が気になり、
何事かとネロを向く。
「ネロ、どーかした?」
「………アンタさ、そろそろ、この三人の中から一人選びなさいよ」
「…………どういう意味?」
意味深な顔をするネロに、俺がそう聞き返すと、
その話に便乗するかの如く、
虹子や定吉までもが視線をコチラに寄こした。
「うん。…僕を選んで欲しい。絶対に」
真剣に目を合わせて、
定吉が俺にそう伝えてくれる。
「うむ。私もフラフラしているお前を見たくはない。………面倒はかけん。私を選べ」
ド変態な虹子までもが、
誠実に俺に伝えてくれる。
「わ、私の事も忘れないでよ? ………もう、言わないわ。私を選びなさい」
一直線に、本心を伝えるように、
虹子も口を開いてくれた。
「「「イチ」」」
三人は何の誤差もなく、
同時に俺の名前を呼んだ。
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