幼なじみによる、俺に対する朝の起こし方について。

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初夏、という訳でもなく、既に7月となって今日からは夏休みという朝。 俺は寝ていた。もうぐっすり。 昨晩は「ぎゃぼおおおおっ!!! 明日から夏休みだぜべいべええええ!!!」くらいに騒いでいたが、夜が明ければこんなもんである。 そんな俺の安眠をこう妨害する奴がいた。 「バッキャロー。私がせっかく乗ってやってるのに朝勃ちすらしないのかお前は」 そう言われて、片目だけ開けてやると、目の前には俺に覆いかぶさるようにしてニヤニヤ笑う、良く知っている奴、悪く言えば幼なじみがそこにいた。 安心してけろ、コイツはヒロインはヒロインでも三番目だから。 「はあ………、大好きなお前がまさか………インポちゃんだったなんで………まあ、それでも調教しちゃう予定だが」 「おはよ、虹子」 苦笑いにすらならないような顔で目の前の女の子に言う。 コイツの名前は常盤 虹子。黒髪ろーんぐな………美少女なんです。こんな口調ですが。 虹子は普段は外顔は礼儀正しく良いのだが、俺に対してだけは簡単に今の様な『朝勃ち!』とか『インポちゃんめ♪』とか口にする、残念な子である。 ………こんな奴だけど、根は良い奴だから我慢して欲しい。 「だけどさ、今日から夏休みなのであって、登校日と同じように起こしにこなくても嬉しいんだけど」 「何を言っている。毎朝お前の寝顔を独り占めできるんだから休みでも来る。現に日曜日はそうだったろうに」 さいですか。 確かに虹子の言う通りだったが、それば別に望んでいるわけじゃないので覚える気すらしていなかったまで。 「あっ、ついでにネロが朝ご飯作って待ってるぞ」 今だに四つん這いになって俺の真上を陣取る虹子が、全開の笑顔でそう言った。
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