君の隣

14/54
前へ
/77ページ
次へ
晴が私の気持ちを、知っているワケがない。 きっとただの幼馴染みとしか、思っていないに決まってる。 こんな迷惑な気持ちは、晴に言っちゃ駄目…。 「…ねぇ、亜実?」 「ん?」 いつの間にか、ミナは食べる事を中断していて、困った顔をしながら、私の事をじっと見ている。 躊躇いがちに、私の名前を呼び、こっちを見つめたまま言い出した。 「…私は、亜実がアイツの事好きで居続ける事を…応援する。 だって亜実は麻川の事を、一途に思って来たんだもん。 それを無駄にしてほしくない。 …でも…でも、亜実自身を傷つける事は…絶対にしないで…?」 言葉を必死に選びながら、慎重に話してくれるミナ。 ミナの優しさが、心にじわりと染み込んでいった。 「うん…。 ありがとう…」 目に涙が溜まり、流れそうになる事を必死で抑えて、ミナを見る。 ミナは、嬉しそうな顔で私を見つめていた。 だけど、その奥にはどこか優しさがあって…。 余計に涙が溢れそうになった。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加