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季節は春
オレ、黒樹大地は中等部を3月に卒業し、この4月に高等部に入学した。
「はぁ、春休みが終わってしまった…」
オレの心はブルーな色で塗りたくられているにちがいない。
そう思ってしまうほど悲しいのだ。
新しい環境に戸惑いは感じてもオレの学園はエスカレーター方式である程度、成績が取れたら上がれるため周りは知っている生徒ばかりで安心できるはずだ。
なのになぜオレがこんなにもブルーになっているかというと、オレは≪アンダー≫と呼ばれているからだ。
≪アンダー≫は学園で最低成績者につけられる称号と思って貰って構わない。
(アンダー=下)って意味だがオレは決して成績自体は悪くない。
それなのになぜオレがアンダーと呼ばれているのはオレは『魔法』を使えないからだ。
正確には『魔力が上手く練れない』ためである。そのため魔法戦技という科目が常に0点になってしまう。
そして、アンダーなオレは魔法が使えないため大変弱いということでして、あとは言わなくても察してくれるよね。
弱いやつの末路ってのは大抵「いじめ」の対象になるわけで、この春休みは「いじめ」から開放された喜びで一杯だったが、春休みが終わったことでまたいじめにあうと思うとそりゃ、ブルーにもなりますよ。
そんなブルーな気持ちで下を向きながら歩いていると桜の花びらが落ちているのに気づいた。
顔を上げると、そこには大きな桜が満開に咲き誇り・・・そこに一人の少女がいた。
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