桜舞う木の下で・・・

3/4
前へ
/91ページ
次へ
オレはその少女に見とれてしまった。 女の子は綺麗な銀髪が腰ぐらいまであり、瞳は淡い桜色をしていて綺麗だなぁ、服装はオレが通う高等部のセーラー服を着て、胸についてるピンバッチが同じ学年だとすぐに分かった。 桜の幹に背中をあずけ桜を眺めるその風景は、写真の様にオレの網膜に焼き付いた。 足を止めて見ていると、少女はこっちに気づきた。 うわ、どうしようかこっちから声をかけるべきなのか? 「あなたはどの季節が一番好きですか?」 「はい?」 オレは急に質問され混乱したが、少女は関係なしに話を続けた。 「私は春が一番好きです。新しいことが始まる感じがとても好きです。」 「オレには好きな季節なんてないよ。毎年同じさ、変わることも変えることも出来ないんだから。」 ちょっと、格好付け過ぎたか・・・いや、でも本当のことだし仕方ないよな。 「変わらない方がいいことだってありますよ。」 少し悲しそうな顔をしていたが、今のオレには変わらないことが辛すぎた。 「オレのはダメな方の変わらないだからさ、変えてやろうと思ってもオレにはなんの力もなかった。」 「でも、あなたは変えようとしたんですね?」 「才能がないものには結果はついて来ないんだよ・・・」 「そんなこと・・・」 少女がさらに悲しそうにしたため、オレは慌てて誤ったよ。 「悪いな・・・初対面の人にこんなことはなすなんて」 「いえ・・・気にしないでください。一つだけいいですか?」 「あぁ・・・」 少女は真っ直ぐにオレを見つめ、柔らかい表情で 「あなたが頑張ってことは無駄ではないと思います。」 と、言ってくれた。 「・・・」 それが嬉しくはあったが、オレはもう諦めていた。 変えることも変わることを願うことも・・・ そろそろ、この子との会話を終わらせ学園に向かわないとな。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加