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それはあまりに唐突に起こった。
フッと灯りが消えて闇が目の前に広がった。
ブレーカーが落ちたのか停電してしまったようだ。
「停電かよー!くそう...。」
山の中だ。携帯電話は圏外だし、停電してしまっては、持ってきていた荷物の整理さえ出来やしない。
輝はその場に座った。幸い宛がわれた客室の中だし、何とか手探りでベットまで位なら移動できそうだ。こういった場合、下手に動く方がケガをしやすい。大人しく電気が通じるのを待つしかない。
暫くしても、明かりが灯る事は無く、朝がくるまで眠るしかないかと思いはじめた頃、突如として静寂が破れた。
「いやああぁぁぁぁっ!!」
下の階から響いてくるその声は、女性のもので、先程会った卯野の顔が脳裏をよぎる。嫌な予感にかられいてもたってもいられなかった。手探りでドアまで移動し、廊下まで出る。そのまま恐る恐る壁伝いに歩き、階段に差し掛かる手すりを探った。
背中をコツンと、棒の様なものでつつかれ、思わずびくりとする。
▲▼
宛がわれた部屋まで、林に案内されていく。二階の東側の小さな小部屋が僕に宛がわれた。
輝は階段近くの部屋でノブが少し壊れかけていると案内されるなり溢していた。
部屋にはいり椅子まで案内してもらうと、スッと林は部屋から出ていった。白杖を手にして、部屋の中に何がおいてあるのか手探りで確認する。
僕には丁度良いスペースの部屋だ。
ベットに寝転ぶ。
バネがギイギイと嫌な音をたてるが、休めなくは無さそうだ。
僕は山登りで消耗していたからか直ぐに眠気が襲って目を瞑った。
― キーーーン ―
...夢?
― キーーーン ―
耳鳴りがする。
何時ものあの感覚...。
ぐらりと揺れる。ふわりと体が宙に浮き、ぐるぐると回されてるような感覚。
...夢じゃない。
― 斧...血... ロウソク... ―
追い回されている影、階段から落ちる輝。
大きな悲鳴が聞こえ、我に返った。
急がなければ...。
無理に未来視が解けてしまったからか、ズキズキとこめかみ辺りが疼く。白杖を握り、部屋を出た。
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