ヒトメボレ

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気持ちがぶれると、自分がこんなにも視野が狭くなる人であるとは思っていなかった。 平常心だ桜井俊樹! 言い聞かせている自分になんだかおかしくなりながら、噛まないように自然に声をかけた。 俊「あ、み、宮坂さん?」 さすが自分、華麗に噛んだ。 由「あ、莉野ちゃんの彼氏さん!」 ツッコむべき場所があるにも関わらず、俺は話を進めた。 俊「あ、さ、桜井俊樹です! 俊樹でいいよ。」 由「わかった! うちも由依でええよ! …なんですか?」 莉「その前にこいつ彼氏じゃないからね!笑」 由「そうなん!てっきり!」 ここの会話も聞こえてはいたが、視野には入っていないため、続ける。 俊「あ、今日の放課後さ、俺らの仲良い人たちで進級パーティーするんだけどさ、よかったらえっと...一緒にどう? もちろん莉野も連れてね。」 緊張しているため、不安定な日本語を直そうとはしなかった。 由「え、逆にいいんですか...? 転校してきたばかりなので色んな人と話したいので行きたいですけど...。」 俊「歓迎するよ! ていうか転校生なんだね。 どこから?」 スラスラと会話ができるくらいだいぶ落ち着いてきたところで、その落ち着きが伝わったのか、相手も敬語がなくなった。 由「京都! じゃあ緊張するけど、今日行ってもええ?」 京都弁の破壊力を目の当たりにした。 違う意味で、これ以上お話していたらやばいと思ったので、潔く逃げることにした。 俊「うん! じゃあ詳しいことは莉野から聞いてね! 楽しみにしてる!」 由「了解! またあとでなー」 そういって笑顔で手を振る由依に手を振り返しながら、俺は5組の教室を後にした。 自分のクラスに帰るまでの足が少しだけ震えていたのは言わずもがなである。
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