イツメン

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佐「着いた!」 同じくらいの背の家が並んだ道の一角、澤北というプレートとインターホンが小さな明かりに灯されている。 俊「いいなぁデカい家。笑」 由「ほんとやわぁ。」 このやり取りを聞いてないフリをしながら、佐絵は門を開けて2人に向かって手を振った。 バイバイとお別れの挨拶をした後、変わらない足取りでそのデカい家に入って行った。 残るは2人。 なるほど、緊張する。 会話どうしよう、かわいい、お家どっちだろう、やっぱりかわいい... 変な思考回路で歩いていると、由依の方から先に口を開いた。 由「うちここ右やけど、俊樹くんはどっち?」 俺ここ左!じゃあね! とは言えなかった。 俊「言っちゃうと左だけど、遅いし家まで送るよ。」 2年の頃、クラスの女の子が「◯◯君が家まで送ってくれたの!」と嬉しそうに話していたのをすぐに思い出し言った言葉だ。 由「え、ほんと?ありがとうございます!」 この時俺は、この子と少しでも距離を縮めるべきだと神様に言われたかの如く、会話を進めた。 俊「いえいえ。あと、くん付けなくていいし、時々の敬語も無しね。笑」 1つの返答でたくさん喋る、悪い癖だと思う。 由「うん、わかった! 俊樹いい人やな!」 俊「久しぶりに誉められたわ。照れるじゃん。」 素っ気なく言ってみせたつもりだが、本気で照れていた。 由「んなことないやろ。笑」 俊「褒め上手じゃん、モテるでしょ!笑」 この時、他愛もない会話を楽しんでいる自分に気づいてないわけではなかった。 この感覚はもしかして、なんて思っていたりもした。
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