イツメン

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由「着いた!」 会話に夢中でどのくらい歩いたかは定かではないが、体感的にはそんなに経っていない内に、俺たちは由依の家の前についた。 俊「なるほど、デカい。」 ちょっとしたデジャブに陥る。 由「今日はありがとな。」 今までよりも少し低い声で言った。 由「正直転校は不安ばっかりなんや。だから俊樹が今日の集まり誘ってくれたこと、本当に感謝してる。」 いつもよりも真面目に語る由依を見て、少し自分も身構える。 俊「こちらこそ。 馴染めたみたいでよかったよ。」 由「おかげさまでな! ほなまた学校でな。」 由依が家の扉に手をかけようとする動作を見て、俺は反射的に声を出していた。 俊「あ、由依ちゃん!」 ドアに手をかけるのをやめ、頭にハテナを浮かばせながらこちらに振り返った。 俊「いや、良かったらなんだけどさ、連絡先...とか...」 自分自身、女の子に連絡先を聞くのは初めてではないが、今回はいつも以上に緊張している。 俊「いやその、これからも皆集まるしさ!すぐ呼べるように!ね!」 変な言い訳かもしれないが、この時の自分にとって少しでも悟られないための、苦し紛れの一言であった。 由「これからも誘ってくれるん!?」 疑うような身振りを見せずに、目を輝かせて言った。 よかった、この子ちょっと鈍感だ。 俊「もちろん!!」 由「めっちゃ嬉しい!ありがと! どう教えればいい? 」 俺は「アドレス言ってくれれば打つよ」と言いながら、電話帳の新規登録画面に飛んでいた。 由依もその言葉を聞き、ローマ字の1つ1つをゆっくりと伝え、確認していた。 俊「ありがとう! じゃああとでメールする! お疲れ様!」 由「バイバイ!」 由依を家に入るまで見送って、小さなガッツポーズをしながら自宅まで歩いている時には、23時を回ろうとしていた。
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