334人が本棚に入れています
本棚に追加
由「そういえば、莉野から聞いたんやけど、集中すると人格変わるん?」
俊「人格って…笑 恥ずかしいな笑」
もっといい言い方あっただろ!
そう大きく言いたかったが、始業式の日に言ってくれた協力するというのを思い出して、すぐにやめた。
由「恥ずかしいことないやんか、かっこええやん?」
俺はこの時、聞き間違いをしたかと思ったが、頭の中で何回も吟味をした結果、やはり聞き間違いはしていない。
俊「嬉しいのでもう一回言ってください!」
変な空気を作らないようにと冗談混じりに返事をしたが、その表情はどれだけ情けないものであったかはわからない。
外が暗くてよかった。
由「1回しか言わへん!」
由依は先ほどのように「もー」と少し笑いながら、携帯の画面を開き、すぐにポケットにしまった。
俊「嬉しい事言ってくれたから、明日は勝てる気がしてきたね。」
由「この状況であたしが言うことやないけど、単純やな笑」
俊「やかましいわ!笑」
ここでなぜか俺は始業式の日を思い出した。
上手く話せなかった初対面と比べ、スムーズに話を進められている。
おそらくこれは俺だけがそう思ってるのではなく、由依も思っているだろう事。
俺、成長...したな...。
と、最後は自惚れで終わる悪い癖だ。
由「着いた!」
自惚れている自分に由依の高めの声が耳に入ってきた。
もう着いちゃったか、なんて乙女のような事を思いながら、俺は足を止めた。
俊「じゃあ、ゆっくり休んでね。 」
由「うん。ほんまありがとな?」
由依今までよりも少しだけ真面目なトーンで言った。
俊「こちらこそ。」
すぐに返したが、なぜこの言葉がでてきたのだろう。
由「じゃあ、バイバイ!」
俺は「あっ!」と引き止める声を出したが、「いや、勝とうな!」と振り返った由依に向かって言うだけだった。
このとき、自分が由依を引き止めようとした理由が正直わからない。
最初のコメントを投稿しよう!