体育祭前

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由「そういえば、莉野から聞いたんやけど、集中すると人格変わるん?」 俊「人格って…笑 恥ずかしいな笑」 もっといい言い方あっただろ! そう大きく言いたかったが、始業式の日に言ってくれた協力するというのを思い出して、すぐにやめた。 由「恥ずかしいことないやんか、かっこええやん?」 俺はこの時、聞き間違いをしたかと思ったが、頭の中で何回も吟味をした結果、やはり聞き間違いはしていない。 俊「嬉しいのでもう一回言ってください!」 変な空気を作らないようにと冗談混じりに返事をしたが、その表情はどれだけ情けないものであったかはわからない。 外が暗くてよかった。 由「1回しか言わへん!」 由依は先ほどのように「もー」と少し笑いながら、携帯の画面を開き、すぐにポケットにしまった。 俊「嬉しい事言ってくれたから、明日は勝てる気がしてきたね。」 由「この状況であたしが言うことやないけど、単純やな笑」 俊「やかましいわ!笑」 ここでなぜか俺は始業式の日を思い出した。 上手く話せなかった初対面と比べ、スムーズに話を進められている。 おそらくこれは俺だけがそう思ってるのではなく、由依も思っているだろう事。 俺、成長...したな...。 と、最後は自惚れで終わる悪い癖だ。 由「着いた!」 自惚れている自分に由依の高めの声が耳に入ってきた。 もう着いちゃったか、なんて乙女のような事を思いながら、俺は足を止めた。 俊「じゃあ、ゆっくり休んでね。 」 由「うん。ほんまありがとな?」 由依今までよりも少しだけ真面目なトーンで言った。 俊「こちらこそ。」 すぐに返したが、なぜこの言葉がでてきたのだろう。 由「じゃあ、バイバイ!」 俺は「あっ!」と引き止める声を出したが、「いや、勝とうな!」と振り返った由依に向かって言うだけだった。 このとき、自分が由依を引き止めようとした理由が正直わからない。
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