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「器物損壊はいけませんよ、獅狼(シロウ)」
すぐ後ろで、吐息のような低い声がしたと思ったら、私の右頬を掠めて腕が伸びてきた。
「………!」
左肩には手が置かれ、それがゆっくり後ろに引かれて、私の背中は黒髪の男に密着させられた。
…ど、どういう状況?!
慣れてないから困るんですけど!
でも、ここで肘鉄入れたら…倍返しじゃすまないよね?!
突然の事に硬直したまま動けないでいると、男は私の右から伸ばした手で壁を撫で始めた。
…そこはさっき、金髪の獅狼と呼ばれた男が殴ってヒビ入れた場所で、黒髪の男が数回撫でると…
…まるで魔法にかかったように、ヒビは綺麗になくなった。
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