373人が本棚に入れています
本棚に追加
「余計な力を使わせないで下さい。」
黒髪の男はそう言いながら、壁から離した手を私の右肩に置いて、
両手にグッと力を込めた。
…まるで、逃がさないというように。
…もう…帰りたい…
私、どうなるんだろ…
ガックリうなだれた私を見て同情してくれたのか、壁から現れた超ド美形がやんわり話し出した。
「麗牙(レイキ)、離してあげたら?怖がってる。」
その優しい言葉に顔を上げ、振り返った私の視界に映ったのは、悪気の全くない爽やか全開の笑顔だった。
…この人、話のわかる人なのかも。
そんな私の期待と希望を、
…彼は爽やかな笑顔のまま打ち砕いてくれた。
「どうせ逃げられないんだから、ね?」
…なんか物騒!
首かしげながら可愛く「ね?」って…余計に怖いわ!
.
最初のコメントを投稿しよう!