いち。

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「………だあぁぁっっ!!」 身の危険を察知した私は、とりあえず大声を上げて駆け出した。 麗牙も獅狼も呆気に取られた様子で、私が横をすり抜ける時に手も出なかった。 その隙に、一目散に昇降口目指して猛ダッシュ! …でも、すぐに背後で声がした。 「…なんだその近年稀に見る鈍足は。」 やれやれといった様子で私の二の腕を掴んだ獅狼が、わざとらしく肩をすくめた。 「さっきも見たでしょう?彼女の鈍足は。」 反対側の二の腕を掴みながら、麗牙が溜息を吐いた。 「行動が読めないのは面白くていいけど、詰めが甘いよね?」 さっきまでの冷たい空気が嘘みたいに爽やかな空気をまとった朔夜が、ニコニコと毒を吐きながら歩み寄ってきた。 「詰めも何も、ただの考えなしの鈍足なのかな。」 本当に爽やかな笑顔で……毒吐きやがる。 「……鈍足はもういいから… …私をどうするつもりなの?」 どっちみちどうにかされるんだろうけど、これ以上チマチマと傷付けられたくない。 開き直った私は、逃げる気も失せて力を抜いた。 ……どうせ逃げられないしね、鈍足で。 .
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