いち。

25/30
前へ
/660ページ
次へ
「…君は僕たち便利屋を探ってたよね?怪しい同好会だと思ったんでしょ? …だったら、中から好きなだけ調べたらいい。」 「朔夜!」 今まで黙っていた獅狼が突然、咎めるような声を出した。 …けど、朔夜のひと睨みでまたすぐ黙り込む事になった。 「部長はボ・ク。だよね?獅狼。」 朔夜はそうして高圧的な態度をとったかと思うと、今度は優雅に組んだ足の上にひじをたて、そこに顎を乗せて上目遣いをしてきた。 …例えそれが計算でも、これだけの美形がやるならときめかない人間はいないはず。 …私もまんまとその瞳に引き込まれた。 「僕たちはやましい事してないのが解って貰えるし、君は身の安全が保証される。 …悪くない話でしょ?」 「………え?…身の安全て……」 ……朔夜の綺麗な瞳に見惚れて、危うく聞き逃すところだった。 私、危険に晒されてるって事?! 「色々見てしまった君の、身の安全。」 引きつった顔で聞き返した私に、朔夜は口角を片方あげて、何か企んだような笑顔を見せた。 そこで私は、改めて自分の状況をかえりみた。 …最初に昇降口で感じた、麗牙の敵意剥き出しの視線。 獅狼の背後からの威圧感。 そして朔夜の…殺気。 .
/660ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加