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「…本当に、よかったのですか?」
凪が便利屋に入部したその日の夜、部室ではいつものように部員たちが集まっていた。
それぞれが四方に散らばって自由にくつろぐ中、麗牙は朔夜の前にひざまずいていた。
「あの柏原 凪という女、前々から私たちを嗅ぎ回って…。
何もわざわざ引き入れなくてもよかったのでは?」
ひざまずきながらもキッパリ意見する麗牙に、朔夜は薄く笑って答えた。
「だって、面白いし。僕を叱り飛ばしたんだよ?
…背中向けてたけど。」
「……あの時は朔夜が殺気みなぎらせたまま笑顔になるから、私も獅狼も何が起こるかと恐怖しましたよ。」
「…僕も。自分でも初めてだったよ。
自分をコントロールできないくらい意表つかれたのって。それにあの子…
…似てるんだよね…。」
楽しそうに笑っていた朔夜の表情が、ふと寂しげに曇った。
それを見た麗牙もまた、悲しげに眉間にシワを寄せて目を伏せた。
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