いち。

30/30
前へ
/660ページ
次へ
「…そう…でしたか…。 …私は全く気に入りませんが…仕方ありませんね。 ではせいぜい彼らの餌食とならないように、目を配りましょう。 …朔夜が飽きるまで、ね。」 スッと立ち上がりながら言う麗牙に、朔夜は苦笑した。 「酷いなぁ。僕そんな飽きっぽくないつもりだけど。…でも、よろしくね? 麗牙は少なくとも二度、僕の罰から逃れさせて貰ったんだし?」 可笑しそうに笑う朔夜の言葉に、麗牙は悔し気に唇を噛んだ。 が、それは事実。 あの時、凪が口を挟まなければ、今こうして朔夜の笑顔を見る事は叶わなかったはず。 「……獅狼も、ね。」 気配もなく傍に立った獅狼に、朔夜は微笑みかけた。 …朔夜と麗牙の会話を、そんなそぶりもなく聞いていた部員たち。 獅狼は彼らを威嚇するように視線を投げかけてから、黙って朔夜に頷いてみせた。 .
/660ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加