いち。

9/30
前へ
/660ページ
次へ
私が見上げていた場所に着いた時には、男はまだ同じ場所に立って 私を待ち構えていた。 でも、私が一歩近づけば、男も一歩遠ざかる。 「……って、ちょっと!何それ?!」 遠ざかる男に、突っ込まずにはいられない。 …だって、一歩が半端ないんだもの! ゆっくり歩いてるようにしか見えないのに、男が足を出してそれが下につく前に、もう数m進んでる。 …私の全速力よりずっと速い! 昇降口の吹き抜け部分の廊下から職員室前へ、そこから更に先の特別棟へ、男はあっという間に遠ざかって行った。 …あの調子で進まれたら、逆に後ろから来ちゃうんじゃないの?! .
/660ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加