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頭が重くて仕方がなかったけれど、不思議と、目を閉じても眠りには落ちない。
それがもどかしくて、何度も寝返りを打つ。
その度に堅いベッドが、キシキシと鳴って、余計に真理子の神経を逆撫でした。
小さく溜め息をついて掛け布団に潜り直した時、カラカラと音がして身体を強張らせると、部屋の中が一段と静かになった。
耳を澄ましても、やっぱり書き物の音は聞こえてこない。
そっと身体を起こしてカーテンの隙間から覗き込むと、机に先生の姿はなく、古びたパイプ椅子だけが寂しげに残されているだけだった。
真理子はそれを確認すると、ベッドの上に座り込んで携帯電話をいじりだした。
眠気が訪れないいま、横になっていることが苦痛で仕方なかったのだ。
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