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その中から、見ることもせずにブラックチョコレートを一つとり、口に入れると、ほろ苦い味が口いっぱいに広がった。
真理子は噛まずに、チョコレートの形がなくなるまで、口の中で転がしていた。
ねっとりと舌や歯にくっついていくる感触も、今は気にならない。
口の中が空っぽになってもまだ、舌は探すように動き回っていたが、心臓の音は正常に戻っていた。
やっとのことで落ち着いて、座りなおす。
そして透視でもするように、カーテンを睨みつけた。
かすかに影が動いた気もしたけれど、それ以上はさっぱり分からない。
そうこうしている内に、扉の開く音がして、先生が戻ってきたのが分かった。
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