3:悪夢をみせて

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その日も孝からのメールはなかった。 真理子は一人、誰もいない廊下を歩く。 手にしていたチョコレートを口に放り込んで、空になった箱をゴミ箱に捨てながら向かった先は下駄箱だった。 しかし、彼女の靴がある棚は、見向きもせずに通り過ぎる。 2人の女子生徒が談笑しながら通り過ぎるのを待って、足を進めたのは、一年生の靴箱。 いくつか並ぶ棚の中から、B組のものを探し、その前で足を止める。 それから、ゆっくりと目を走らせ始めた。 あ行から始まって、か行、さ行と名前が続く。
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