1:プロローグ

11/12
前へ
/278ページ
次へ
少女は鏡から手を離し、ベッドに顔を向けた。 淡いピンク色のベッドカバーが小さく膨らんではしぼむ。 その規則正しいリズムに合わせて、少女はゆっくりとベッドに近づいていった。 窓から流れ込む風が、カーペットに放り投げられたままの雑誌のページをめくる。 開かれた占いのページには、マジックで大きな赤丸が書き込まれた箇所がある。 しかし、ローファーがすぐにそれを隠した。 ページに二本シワが入ったと思う間もなく、重みに耐えかねて破れる。 少女が見下ろす先には、胸を小さく上下させて眠る少女が横たわっていた。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加