3:悪夢をみせて

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真理子は、もう一度『山村瑞穂』の靴箱に駆け寄ると、ためらうことなく扉を開けた。 中には、先ほどまであったローファーの代わりに、綺麗な上履きが納まっている。 それを見た瞬間、真理子は扉を叩きつけていた。 あまりの衝撃で、扉は閉まりきらずに跳ね返り、隣の壁にぶち当たる。 驚いた様子で男子生徒がこちらを見ているのに気がついて、急いで扉を閉めなおしたけれど、角の塗料は剥げてしまっていた。 俯いたまま走り出す。 自分のローファーが床に転がったままだということなんか、すっかり忘れていた。
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