3:悪夢をみせて

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気がついたら彼女は部室にいた。 冷蔵庫を開いて中からプチショコラを取り出すと、乱暴に箱を引きちぎった。 チョコレートを手に持てるだけもって口に押し込むと、豪快に噛み砕いては、飲み込んでいく。 それを繰り返しているうちに、机の上は、いくつもの空箱が転がっていた。 手はべとべとになり、口の周りは子どものように汚れている。 真理子が次の箱を開けている間に、その茶色い汚れを、一筋の涙が溶かしていった。 と、思う間も無く、次々に涙が頬を伝っていく。 真理子は声を出さずに、ひたすらチョコレートを頬張り続けた。 それでもチョコレートはなくならず、依然として冷蔵庫に居座っているのだった。
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