3:悪夢をみせて

21/60
前へ
/278ページ
次へ
「いっぱい食べたねえ。真理子ちゃんも、これ気に入ったの?」 そう訊ねられて、コンタクトが乾ききった目をしょぼしょぼさせて顔を上げると、机の向いに座る八木の姿が見えた。 「ああ、八木くん……」 唇を手の甲で拭うと、べっとりとチョコレートがくっついた。 慌ててティッシュで拭うと、八木は笑った。 「なんか、やけ食いみたいだね」 「『みたい』って言うか……」 「あ、本当にやけ食いだったんだ」 八木があまりに、あっけらかんと笑うものだから、真理子も弱々しく微笑んだ。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加