プチショコラ

３：悪夢をみせて

『浮気』という言葉が適切だとは思えなかった。

大体、孝は付き合おうとは言ってくれていない。
勝手に付き合っていると思い込んでいたけれど、勘違いだったのか。

そう思うと、真理子はブルっと肩を震わせた。

八木が心配そうに覗き込んでいたけれど、それは笑ってごまかした。

「浮気じゃないと思う。私達、付き合ってるとも言えないし」

努めて明るく言ったつもりだったが、言葉尻が震えるのを抑えることは出来なかった。