3:悪夢をみせて

30/60
前へ
/278ページ
次へ
ある日の夕方、薄暗い部屋で真理子はベッドに体を横たえていた。 隣では、携帯電話をいじる孝が背を向けている。 液晶画面の光が彼の顔を緑色に染める。 癖のある髪の先は、まるで天使のそれのように透き通り、呼吸に合わせて揺れていた。 「孝……」 ポツリと呟いて、真理子は彼の背中に体をピッタリとくっつけた。 「んー?」 孝は振り向かない。 指はとめどなく携帯電話のボタンを押していた。 
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加