3:悪夢をみせて

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「お金持ちなの? 確かに、お菓子買いだめ出来るくらいだから、そうなんじゃないかとは思ってたけど」 真理子が言うと、奈美は目を見開いた。 そして、まるで自分のことでも自慢するような調子で話し始めたのである。 「知らないの?八木のお父さんって、お医者さんなんだよ。 だから、きっとお金持ちなんでしょ。 前も、何かの病気になって入院した時、自分の家の病院に入院してたんだって。 しかも、個室!」 はあっと息を吐き出した奈美の瞳は、まるで恋でもしてるんじゃないかっていうくらいに熱っぽい。 しかし、その潤んだ瞳の下の唇は、恋とは無縁のことを語っている。
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