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「は?」
混乱する真理子に、再度質問を重ねる。
「だから、昨日の九時以降どこにいたって聞いてるの」
「えっ……なんで?」
「なんででもいいから」
尋問する刑事のように奈美がバンバン机を叩くものだから、真理子は一瞬頭が真っ白になってしまった。
教室中の視線がなぜか自分に集中しているのも、感じていた。
「えっと……家にいた」
「それを証明できる人は?」
本当に刑事のような質問を続ける奈美に、真理子は動揺を隠せない。
それでも、素直に本当のことを告げた。
「お母さんも弟もいたよ。
お父さん……も、飲み会で遅くなったけど帰ってきたし」
考えながら言うと、奈美の口から安堵の息がもれた。
同時に、教室の空気もゆるむのを感じた。
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