2:夢という名の言い訳

3/82
前へ
/278ページ
次へ
「は?」 混乱する真理子に、再度質問を重ねる。 「だから、昨日の九時以降どこにいたって聞いてるの」 「えっ……なんで?」 「なんででもいいから」 尋問する刑事のように奈美がバンバン机を叩くものだから、真理子は一瞬頭が真っ白になってしまった。 教室中の視線がなぜか自分に集中しているのも、感じていた。 「えっと……家にいた」 「それを証明できる人は?」 本当に刑事のような質問を続ける奈美に、真理子は動揺を隠せない。 それでも、素直に本当のことを告げた。 「お母さんも弟もいたよ。 お父さん……も、飲み会で遅くなったけど帰ってきたし」 考えながら言うと、奈美の口から安堵の息がもれた。 同時に、教室の空気もゆるむのを感じた。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加