578人が本棚に入れています
本棚に追加
それから奈美は、手早く荷物を纏めて出て行った。
恐らく、まっすぐに孝の家へと向かうのだろう。
「あと……つけてみる?」
八木は言ったけれども、真理子は黙って首を横に振った。
これ以上、事実を目にして傷つきたくない。
ただの逃げだということは分かっていたけれど、どうしても奈美と孝の関係を直接目にしたくはなかったのだ。
「どうして……」
「ん?」
八木が振り向くのと同時に、真理子の頬を涙が伝って、落ちていった。
「どうして、うまく行かないことばっかりなんだろう……」
最初のコメントを投稿しよう!