4:身近なところに敵がいる

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それから奈美は、手早く荷物を纏めて出て行った。 恐らく、まっすぐに孝の家へと向かうのだろう。 「あと……つけてみる?」 八木は言ったけれども、真理子は黙って首を横に振った。 これ以上、事実を目にして傷つきたくない。 ただの逃げだということは分かっていたけれど、どうしても奈美と孝の関係を直接目にしたくはなかったのだ。 「どうして……」 「ん?」 八木が振り向くのと同時に、真理子の頬を涙が伝って、落ちていった。 「どうして、うまく行かないことばっかりなんだろう……」
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