5:境目のない世界
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真理子は気がついたら、校舎を飛び出していた。 八木の姿はない。 しかし彼女に、彼のことを考える余裕などなかった。 走って走って、走って。 ようやく奈美の姿を視界の端で捕らえた時には、彼女は孝の家の呼び鈴を鳴らしたところだった。 二言、三言、インターホンに向かって何か言ってから、奈美は古びたアパートの一室に吸い込まれていった。
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