5:境目のない世界

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「あ……」 小さく奈美が呻いて、孝の髪を強く握る。 そしてまた、繰り返し彼の髪を愛おしそうに撫でる。 2人は飽きもせずに、しばらくそれを続けていたが、奈美が孝の髪を掻き揚げた時 「そうだ、忘れちゃうところだったあ」 と、妙に冷静な声を上げたのである。
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