5:境目のない世界

6/59
前へ
/278ページ
次へ
「なんだよ、ちょっとくらい静かにしとけよ」 途端にむっつりとした表情になって、孝が身を起すと、奈美はスルリとその腕から抜け出した。 「ったく、しらけんなあ」 孝はぼやいていたが、奈美はお構い無しに鞄に手を突っ込むと、中からハンカチを取り出した。 丁寧にそれを開くと、中から出てきたのは、銀色に光るピアスだった。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加