5:境目のない世界

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「そういうこと言うんだったら、止める?」 孝が急に真面目な顔になって手を止めると、降参の意でも示すように、両手を上げる。 しかし奈美は、クスクス笑いながら上半身を起して、彼の胸に顔を寄せた。 「やーだ。もう、止められないよ。 大丈夫。真理子は全然気付いてないし」 「まさか友達に裏切られてるとは、思わねえだろうな」 孝がゆっくりと奈美の背中を撫でると、奈美はうっとりと目を細めた。 「あら。その友達に、急にキスしてきたのは、そっちでしょ。 それも、真理子がいるすぐ後ろで」
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