2:夢という名の言い訳

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朝、真理子はいつもより少し早めに登校した。 まだ誰の姿もない空っぽの教室に鞄を置き、廊下を歩く。 人気がないものの、すでに窓からはたくさんの光が流れ込んでおり、校舎は朝からやる気をみなぎらせているようだった。 それでも、光の力の及ばない場所もある。 廊下の突き当たりまでくると、同じ建物内とは思えないほど急激に薄暗くなる。 心なしか、温度も二度は違ってくる気さえする。 立て付けの悪い扉を力ずくで開くと、そこには小さな部屋があった。 カーテンは閉め切られ、ただでさえ暗い部屋には、廊下からお情け程度の光しか差し込んでいない。 真理子は迷うことなく中に足を進めると、窓がある場所まで歩いていった。 暗闇とはいえ、小さい空間だ。 大体の物の位置は把握している彼女にとって、見当をつけて進むくらいは何の支障もない。
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