2:夢という名の言い訳

23/82
前へ
/278ページ
次へ
しかし、予想外のことが起こった。 物につまづいたというわけではない。 突然横から腕を掴まれ、すごい力で引っ張られたのである。 思いもかけない事態に、真理子は小さく声を上げて、抵抗する術もなく倒れこんでしまった。 しかし幸いなことに、堅い床に叩きつけられると思ってとっさに縮めた身体は、それほど角度をつける前に何か柔らかいものに支えられ、動きを止めた。 ほっと息を吐き出したのもつかの間。 ごつごつとした手が、真理子の胸をまさぐったのである。 何をされるのかと、慌てて身を起こすと、急いでその場から離れる。 鳴り響く心臓の音を聞きながら、駆け出そうとしたのだが 「ご、ごめん」 という声に、足を止めた。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加