2:夢という名の言い訳

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「1個、あげる」 赤いパッケージが目立つ、10センチくらいの長方形の箱。 表には細い金色の線で『プチショコラ』と印刷されている。 「おいしいよ」 手を伸ばそうとしない真理子の様子を窺うように、彼は言った。 「新発売のチョコレート。ぼく、気に入っちゃってさあ。 ここんとこ、1日3箱は食べてるなあ」 真理子は小さく笑った。 「食べ過ぎでしょ。本当に、八木くんは甘いものに目がないよね」 そして手を伸ばして蓋を開けると、中から破られた銀紙が現れた。
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