2:夢という名の言い訳

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ホワイトチョコレートに、ミルクチョコレート、そしてブラックチョコレートの三種類が行儀良く収まっている。 真理子は一番手前に並んだミルクチョコレートをつまむと口に放り込んだ。 「いただきます」 「どうぞ」 舌の上で、甘ったるいチョコレートの味が広がっていく。 チョコレートはこんなに甘いものだっただろうかと不思議になるほど、ねっとりとした甘みが舌を麻痺させた。 「どう?」 「甘い」 「そこがいいんだよ」 八木は満足そうに頷いたけれど、真理子にとってはあまり好きな味ではなかった。 自分で買うことはないだろう商品として、『プチショコラ』はインプットされたのだった。
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