2:夢という名の言い訳

29/82
前へ
/278ページ
次へ
「真理子ちゃんって、本も読むんだねえ」 自分もチョコレートを手にとって、八木が言う。 視線は真理子の手の下に、隠れるように置かれた本に注がれていた。 「え?ああ、これ?」 真理子は手にしていた本を持ち上げて見せた。 『ハリーポッターと賢者の石』と書かれた表紙が、得意げに光りを放つ。 しかし真理子はすぐにそれを机の上に下ろした。 「読んでないよ」 「え?だって、借りたんでしょ?」 「一方的に押し付けられただけだよ」 何かを思い出したかのように、真理子は笑った。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

578人が本棚に入れています
本棚に追加