2:夢という名の言い訳

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「ここって、本当なんでもあっていいよなあ。ここに住みたいよ」 「住めばいいんじゃない?ちょうど、先輩が置いてった毛布もあるし」 「そんなにあっさり言わなくても……。 しかも、あの毛布最近見てなくない?暑くなってから、使ってないよね」 「そういえば……。捨ててはいないはずだから、どこかにあるでしょ。 埃まみれになってるとは思うけど」 なんとなく、それ以上繋げる言葉が思いつかなくて黙り込んだ。 だからと言って八木も、わざわざ話題を提供したりはしない。 ここで2人は話すことも多かったが、それ以上にそれぞれ漫画を読んだり、携帯電話をいじったりと口を聞かずに没頭することも多かったのだ。 今更、沈黙をいちいち意識したり、気まずくなったりする必要など、なかった。
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