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言われるがまま、下部に視線をスライドさせていくと、左端の小さな枠の中で、目線をかけられた少女の写真が丸く貼り付けられていた。
そしてその隣には『女子高校生が殺された!家族が語る悲劇の真相とは』と、太文字が並んでいる。
目元が隠されていてもその少女は、確かに奈々だった。
白黒でかなり荒い印刷になっている為に、ぼやけているが、間違いない。
しかし、ほんの数行かかれた『家族』の言葉は、本物ではないだろう。
何しろ、それは『奈々の兄』が語ったとされているのだ。
奈々には兄はいない。姉が一人いるだけなのである。
「ふーん、奈々だね」
真理子の冷めた反応が癪に障ったのだろう。
奈美は自分のほうに週刊誌を引き戻すと、わざとらしく溜め息を吐き出した。
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