2:夢という名の言い訳

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「なんだって?ヨリを戻したいって?」 真理子は声を立てずに笑った。 彼女達の声は教師の耳に入っているのかいないのか。 確かなところは分からなかったけれど、少なくとも彼は注意する素振りも見せようとはしなかった。 黒板にこすれるチョークの音が小刻みに響く中、奈美の追求は続く。 「教えてよ。付き合いなおそうってメールじゃないの?」 真理子は黙って首を振る。 それを見た奈美は、つまらなそうに背もたれに寄りかかると、天井を仰いだ。 「なあんだ。つまんないの」 「つまんないって何よ」 今度は奈美が小さく笑った。 「まあ、いいや。でも、進展あったら報告してよ」 「はいはい」 それから奈美は開いた手帳に突っ伏してしまった。 一方の真理子は、終了の鐘が鳴るまで、熱心にノートを取り続けたのだった。
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