2:夢という名の言い訳

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放課後になっても、まだ太陽の光が弱まらない中、真理子は上履きからローファーに履き替えていた。 教室で時間をつぶしてから出てきたので、とっくに始まっている部活動の掛け声が、響き渡っている。 部活のない生徒は、ほとんどが帰宅してしまっているのだろう。 活気に溢れた校庭とはうって変わって、校舎は人影が絶え、静かだ。 真理子が昇降口を出て、門に向かって歩いていると、自分の声を呼ぶ声が背中で聞こえた。 しかし、確かに声は聞いたものの、足は止まることなく歩き続ける。 すると、今度はかなり距離の近いところで呼びかけられ、同時に腕を強く引かれた。 これには、さすがに止まらざるを得ない。 彼女はいかにも渋々といった表情を隠そうともせずに、振り向いた。
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